公的機関・団体・NPO
「個人の管理」から「チームの共通基盤」へ
日本障がい者サッカー連盟が実践するプロジェクトマネジメント
一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟(JIFF)
一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟(以下、JIFF)は、「サッカーなら、どんな障害も超えられる。」を理念に、障がい者サッカーを通じた共生社会の実現を目指す団体です。
2016年の設立以来、日本サッカー協会(以下、JFA)と連携し、現在は8つの障がい者サッカー競技団体を支援し、競技の普及・発展を推進しています。競技力向上や日本代表の強化に加え、観戦環境の整備、教育・啓発活動、障がい者雇用の創出など、「する・見る・関わる」の各側面から誰もが参加できる環境づくりを進めています。また共生社会の実現に向けた活動も積極的に行っており、サッカーを起点に、人々がともに働き、学び、暮らせる社会の実現に挑戦しています。
雇用形態やバックグラウンド、勤務場所の異なる様々なメンバーが参画するプロジェクトにPROEVERを導入したことで、プロジェクトの状況把握が容易になり、スムーズなプロジェクトの進行を実現しました。
課題
- メンバーごとにExcelやGoogleスプレッドシートなど異なる方法で業務管理を行っており、プロジェクト全体の進捗状況をタイムリーに把握しにくかった。
- リモートワークの増加により、担当者の業務負荷やプロジェクトの状況が見えづらくなり、適切なコミュニケーションが取りにくい状況だった。
- 担当者交代時に業務の経緯やノウハウが十分に引き継がれず、継続プロジェクトの運営に課題があった。
解決策
- PROEVERを導入し、タスク・担当者・期限・進捗情報を一元管理する共通基盤を構築した。
- 既存タスクリストをWBS化し、会議で実際に活用しながら運用ルールを定着させた。
- 定例会を通じて進捗や課題を可視化し、関係者全員が同じ情報を共有できる環境を整備した。
効果
- プロジェクトの進捗状況が可視化され、管理者・実務担当者ともに状況把握が容易になり、円滑なコミュニケーションを実現した。
- 過去のWBSや関連資料を蓄積することで、担当者交代時の引き継ぎが大幅に効率化された。
- 多様な関係者が参画するプロジェクトでも共通認識を持ちやすくなり、継続的な改善と組織的な知見の蓄積が可能になった。
サッカーを通じた共生社会づくりを推進する一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟(以下、JIFF)。東京都港区との連携協定に基づく「レガシーマッチ」をはじめ、多様な関係者とともに複数のプロジェクトを展開しています。
「サッカーなら、どんな障害も超えられる。」を掲げ、2016年の設立以来、サッカーを通じた共生社会づくりを推進してきました。国内の障がい者サッカーの普及・発展、JFAをはじめとするサッカーファミリーとの連携がより強固になる中、共生社会の実現に向けた様々な活動を続けています。
一方、活動が広がり、様々なプロジェクトが進行するようになると、メンバーごとに異なる業務管理、リモートワーク下での進捗把握、担当者交代時の引き継ぎなど、プロジェクトを継続的に運営するうえでの課題もありました。
JIFFはPROEVERを導入し、タスクや進捗を一つの場所に集約。プロジェクトの見える化だけでなく、コミュニケーションの改善、引き継ぎの円滑化、翌年度に向けた改善サイクルの定着につなげています。
サッカーを通じた共生社会づくりを、
プロジェクトの力で前へ
JIFFは、加盟する障がい者サッカー団体とともに、サッカーを通じた共生社会づくりを推進しており、それぞれの競技の普及・振興に加え、障がいのない人に向けた研修や学校教育プログラムなど、活動は多岐にわたります。
2023年からは東京都港区との連携協定のもと、障がい者サッカーをまちづくりに活かす取り組みを開始しました。その中心的なプロジェクトの一つが「レガシーマッチ」です。年間を通じて障がい理解や障がい者サッカーについて学んだ子どもたちが、電動車椅子サッカーやブラインドサッカーの試合などでボランティアとして参加し、学びを実践につなげます。
また、日本サッカー全体における障がい者の観戦環境の改善を目指す「観戦アクセシビリティプロジェクト」への取り組みも始まりました。毎年継続するプロジェクトと、新たに立ち上げるプロジェクト。その双方を着実に進める基盤として、PROEVERの活用が始まりました。
導入前の課題
情報はあるが、状況がタイムリーに見えない
JIFFには、雇用形態やバックグラウンド、勤務場所の異なるメンバーが参加しており、従来はExcelやGoogleスプレッドシートなどを使い、それぞれが工夫しながらタスクやスケジュールを管理していました。そのため、情報自体は既存の資料を調べれば確認できる状態でした。
しかし、「情報が存在すること」と、「プロジェクトの進捗をタイムリーに把握できること」は異なります。
「もともと情報は共有されていましたが、調べれば分かる状態であって、進捗をタイムリーに追える状態ではありませんでした」と山本様はこう振り返ります。コロナ禍を経てリモートでの業務が増え、対面で話す機会が減ったことで、「今、何がどこまで進んでいるか」「特定のメンバーに負荷が集中していないか」を確認できる共通基盤の必要性が高まっていました。
さらに、個人の管理方法に依存すると、担当者が変わる際に、それまでの経緯や次に行うべきことが十分に引き継がれない可能性があります。特にレガシーマッチのように毎年続くプロジェクトでは、過去の経験を組織の知識として残し、次年度へつなぐ仕組みが必要でした。
タスクリストをWBS化し、実際の会議で使いながら定着
導入にあたっては、まず既存のタスクリストをもとにWBSを作成し、必要な作業に抜け漏れがないかを確認しました。その後、プロジェクト内でPROEVERをどのように使うかを運用ルールとして整理しました。
こうしたシステムの利用に慣れていないメンバーもいたため、操作説明だけで終わらせず、実際の会議でPROEVERを動かしながら、「どこを更新すると、何が変わるのか」をメンバーが体験できる機会を設けたこともポイントです。最初は少人数のチームでトライアルを行い、得られた成功体験をもとに活用範囲を広げていきました。
株式会社マネジメントソリューションズ(以下、MSOL)のメンバーも定例会に参加し、タスクの進捗、作業の前後関係、遅延が他の作業に与える影響などを一緒に確認。会議で決まった事項や課題を関係者へ共有し、システムの操作だけでなく、PROEVERを使ったプロジェクトの進め方そのものを伴走して支援しました。
成果1
進捗の見える化が、チームの安心感をつくる
PROEVERにタスク、担当、期限、進捗を集約したことで、管理する側だけでなく、実務を担うメンバーにとってもプロジェクトの進行状況を把握しやすくなりました。
管理者は会議に参加できない場合でも全体の状況を確認でき、必要なポイントに絞ってコミュニケーションを取れます。メンバー側も、自分が担当している業務や進捗をチームに示せるため、「見てもらえている」、「一人で抱え込まなくてよい」という安心感につながりました。
PROEVER上でタスクの状況を表す天気ステータスも、対話のきっかけになりました。ステータスを見て、「曇りだけど大丈夫?」「雨だったら心配になるね」と、互いに状況を確認するコミュニケーションが生まれたと井上様はそう語ります。
「『なぜできていないのか』と確認するよりも、天気を見ながら『今はどういう状況ですか』と話せるので、コミュニケーションが取りやすく、角が立ちません」進捗状況を共通のサインとして確認できることで、問題の指摘ではなく、必要な支援や対応を相談する建設的な対話へと変化しました。
成果2
引き継ぎを円滑にし、毎年の経験を組織の資産へ
レガシーマッチでは、前年のWBS、タスク、関連資料へのリンクなど様々な情報がPROEVER上に残ります。新たな担当者は、年間を通じて何を、いつまでに進める必要があるかを把握しやすくなりました。実際にレガシーマッチのメイン担当者が交代した際には、メイン担当が初めてであったことに山本様が気づかなかったほど、プロジェクトは円滑に継続されました。
「毎年続くレガシーマッチの“型”がPROEVER上にできたことで、引き継ぎが大幅にスムーズになりました。基本的には、PROEVERに登録されている内容をたどれば、次に何をすべきかが分かります」と井上様は語ります。
タスクだけでなく、前年の資料や関連情報へのリンクも蓄積されているため、新しい担当者は過去の経緯を確認しながら、年間の見通しを持って業務を始められます。担当者個人の記憶ではなく、プロジェクトの「型」を共有できたことが、円滑な引き継ぎを支えました。
イベント終了後には、WBSとTODOを振り返り、新たに見つかった課題を翌年度のWBSへ反映します。現場で得た学びを次回のスタート時点から生かせるため、抜け漏れの防止だけでなく、経験値が活かされ、プロジェクト品質を毎年積み上げるサイクルが生まれています。
成果3
多様な関係者との協働を支える共通基盤に
JIFFのプロジェクトには、職員、ボランティア、行政、企業、他団体など、多くのステークホルダーが関わります。関係者が増え多様になるほど、役割分担や進捗を共通認識にする重要性は高まります。
PROEVER上で必要な情報を共有することで、会議に参加できないメンバーを含めて、それぞれがプロジェクトの状況を確認しやすくなりました。単に効率を高めるだけでなく、JIFFが大切にしている「多様な人を巻き込み、丁寧にコミュニケーションを重ねる」という進め方を支える基盤として活用されています。
一方、更新を継続する習慣の定着や、WBSをどの粒度で作成するかには、今後も改善の余地があります。管理すること自体を目的にせず、プロジェクトをより良く進めるためにどう使うか。JIFFは実践を重ねながら、より効果的な活用方法を模索しています。
PROEVERを使いこなすことで、一人ひとりのプロジェクトマネジメントスキルを高めることにもつながっています。メンバー全員がプロジェクトを推進できるようになれば、より多くのプロジェクトが生まれ、社会へのインパクトを広げることができるようになります。
今後の展望
一人ひとりのプロジェクト推進力を高め、
社会へのインパクトを広げる
JIFFは次の10年に向けて、「ともに働く、学ぶ、暮らす」をテーマとした社会実装に向けて取り組んでいきます。障がい者の安定雇用創出、体験格差を解消していくプログラムの実施、学校環境のアクセシビリティ向上、日常生活やスポーツを含む多様な領域で、企業や団体との共同プロジェクトを広げていく方針です。
活動領域がサッカーの外へ広がり、関わるステークホルダーが増えるなか、情報共有と進捗の見える化はさらに重要になります。JIFFは、個々のメンバーのプロジェクト推進力を高めながら、多様な企業・団体との新たな取り組みを着実に成果へつなげていくために、PROEVERの活用をさらに広げていきます。

一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟
( Japan Inclusive Football Federation )
- 設立
- 2016年4月1日
- Web
- https://www.jiff.football